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釧路地方裁判所 平成2年(わ)97号 判決 1990年7月12日

本籍

札幌市中央区南二条西二八丁目一七四番地六九

住居

同所

病院経営

杉木曻幸

昭和六年三月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官山下司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金二五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、根室市花園町四丁目一番地所在の根室共立病院を経営しているものであるが、売上げ金額の一部を除外し、架空経費を計上するなどの不正な方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六〇年分の実際総所得金額が九九九九万九四二七円あつたにもかかわらず、同六一年三月一四日、北海道岩見沢市二条東四丁目五番地の一所在の岩見沢税務署において、同税務署長を介し、所轄根室税務署長に対し、その総所得金額が四九九五万一二六五円であり、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると一六三七万五八七五円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一四二三万〇七〇〇円と右申告税額との差額三〇六〇万六五〇〇円を免れ

第二  同六一年分の実際総所得金額が一億〇三七四万五八六二円あつたにもかかわらず、同六二年三月一六日、根室市大正町一丁目一番地所在の根室税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が五二一二万六七三二円であり、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると七一九万五八八一円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二五六一万七六〇〇円と右申告税額との差額三二八一万三四〇〇円を免れ

第三  同六二年分の実際総所得金額が八九三〇万八一四六円あつたにもかかわらず、同六三年三月一五日、前記根室税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が四三五五万六八九三円であり、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると五一三万〇五九一円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二〇八〇万四三〇〇円と右申告税額との差額二五九三万四八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  田辺房代の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  川口典子、河井秀彦及び佐藤文雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  鶴本理、荒井フサ及び吉中玲子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  古内和明、杉木博幸及び杉木祐子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  中山英夫の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書

一  大蔵事務官作成の売上(収入)金額調査書

一  大蔵事務官作成の旅費交通費調査書

一  大蔵事務官作成の広告宣伝費調査書

一  大蔵事務官作成の接待交際費調査書

一  大蔵事務官作成の修繕費調査書

一  大蔵事務官作成の消耗品費調査書

一  大蔵事務官作成の福利厚生費調査書

一  大蔵事務官作成の給料賃金調査書

一  大蔵事務官作成の賃借料調査書

一  大蔵事務官作成の寝具費調査書

一  大蔵事務官作成の専従者給与調査書

一  大蔵事務官作成の青色申告控除額調査書

一  大蔵事務官作成の事業専従者控除額調査書

一  大蔵事務官作成の利子所得調査書

一  大蔵事務官作成の雑所得調査書

一  検察官作成の平成二年五月一四日付電話聴取書

一  被告人の

1  当公判廷における供述

2  検察官に対する供述調書

3  大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  杉木博雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  周田ヨシヱの

1  検察官に対する供述調書

2  大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  杉木美恵子の

1  検察官に対する供述調書

2  大蔵事務官に対する質問てん末書

一  成田長治の

1  検察官に対する供述調書

2  大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  佐藤文恵の

1  検察官に対する供述調書

2  大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  佐々木徳彦の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  新保恵美の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  菊池美紀、田野平経子及び野口キクの大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  石山信子、渡部良之及び杉木哲雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  一島貞満、阿部武文及び山田耕一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  検察事務官作成の平成元年一二月一日付電話聴取書

一  検察事務官作成の平成二年六月一八日付報告書

判示第一の事実について

一  検察事務官作成の平成二年六月一九日付報告書(昭和六〇年分)

一  検察事務官作成の平成元年一二月七日付電話聴取書

判示第二の事実について

一  検察事務官作成の平成二年六月一九日付報告書(昭和六一年分)

一  検察官作成の平成二年五月二二日付電話聴取書

判示第三の事実について

一  検察事務官作成の平成二年六月一九日付報告書(昭和六二年分)

(法令の適用)

一  判示の各所為 所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑を選択)

一  併合罪加重 刑法四五条前段

懲役刑 刑法四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)

罰金刑 刑法四八条二項

一  労役場留置 刑法一八条

一  執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑につき)

一  訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 小倉正三)

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